結婚前、旦那が“世界一臭い缶詰”に挑んだ日の話 〜Röda Ulvenフィレタイプと発酵の科学〜**
結婚前のある日、旦那が突然こう言った。
「一度でいいから、世界一臭い缶詰を食べてみたいんだよなぁ」
その“世界一臭い缶詰”とは、 スウェーデンの発酵ニシン シュールストレミング。 発酵食品の中でもトップクラスの“香り”を誇る、あの伝説の缶詰だ。
当時は今より安く、3000円台で買えたらしい。 (今は6000円を超えるすっかり高級品。)
🧪 匂いの正体は「アミン類」という科学の暴れん坊
シュールストレミングの強烈な匂いは、 魚が発酵する過程で生まれる トリメチルアミン が主役。
これは
- 生臭さ
- 下水のような香り
- 海の近くの独特の匂い に共通する成分。
つまり旦那が言った
「下水道だな」 は、科学的に正しい。
🏡 開封場所は、なぜか経験者の友達の家
旦那の友達に、なぜか“シュールストレミング経験者”がいた。 (人生で一度は出会うタイプの人材なのだろうか。)
その友達が言うには、
「うちの庭で開けなよ。田舎だし水中で開けるとガスが逃げにくいから」
という、科学的に正しいアドバイス。
発酵ガスは空気中に放つと周囲に広がるけれど、 水中だと 水分子がガスを一部吸収して拡散を抑える。 つまり、水中開封は“匂いの暴走を防ぐ科学的手段”。
💧 本場式・水中開封という儀式
- バケツに水を張る
- 缶を沈める
- 水中で缶切りを入れる
- ガスがぷくぷく抜ける
この“ぷくぷく”こそ、発酵が生きている証拠。 シュールストレミングは缶の中でも発酵が続くので、 開ける瞬間にガスが一気に解放される。
科学的には「缶内発酵食品」。 日常的には「開けたら終わり」。
🐟 旦那が食べたのは Röda Ulven(ローダ・ウルヴェン)のフィレタイプ
後から分かったのだけれど、 旦那が食べたのは Röda Ulven(ローダ・ウルヴェン)フィレタイプ。
フィレタイプとは、
- 骨なし
- 内臓なし
- 身だけの切り身
という、初心者に優しい“安全モデル”。
科学的に言うと、 内臓がない=分解される成分が少ない=匂いがまだマシ ということ。
つまり旦那は、 “世界一臭い缶詰の中では、もっとも優しい部類” を食べていた。
📊 ブランド別・匂いレベル比較表(雑学つき)
| ブランド | 匂いレベル | 特徴 | 日本での入手性 |
|---|---|---|---|
| Röda Ulven(ローダ・ウルヴェン) | ★★★★★ | 世界で最も有名。発酵が深くパンチ力強め。輸出用はフィレ中心。 | ◎(フィレはAmazonで安定) |
| Oskars(オスカルス) | ★★☆☆☆ | 比較的マイルド。初心者向けとして人気。 | ◎(フィレはAmazonで安定) |
| Kallax(カラックス) | ★★★☆☆ | バランス型。クセはあるがローダほどではない。 | △(ほぼ個人輸入) |
| Hagström(ハグストロム) | ★★★★☆ | 伝統製法で旨味濃い。匂いも強烈。 | △(ほぼ個人輸入) |
| フィレタイプ(各ブランド) | ★★☆☆☆ | 骨なし・内臓なしで扱いやすい。匂いは同じでも食べやすい。 | ◎(日本はほぼフィレのみ) |
🛒 Amazonでは“ほぼフィレしか売っていない”理由
日本のAmazonを見ると、 Röda UlvenもOskarsも、見つかるのはフィレタイプのみ。
これは輸入業者の判断で、
- ホールタイプは匂いが強すぎてクレームの元
- 開封事故(飛沫・破裂)のリスクが高い
- 日本の住宅事情と相性が悪い
- 初心者向けにはフィレが圧倒的に扱いやすい
という理由から、 日本の流通は“安全第一”でフィレ中心になっている。
つまり、 日本は国を挙げて初心者を守っている。
🧀 本場の食べ方は、匂いを中和する“科学的レシピ”
スウェーデンでは、匂いを和らげるために 以下の食材を組み合わせる。
- 薄いパン(炭水化物が匂い成分を吸着)
- じゃがいも(デンプンがアミン類をマイルドに)
- サワークリーム(乳脂肪が匂いを包む)
- 玉ねぎ(辛味で匂いを上書き)
- ディル(香草で香りの方向性を変える)
つまり本場の食べ方は、 匂いを科学的に“中和”するレシピだったのだ。
旦那はパン+チーズだけだったので、 ゲオ臭ストレートをくらったのも当然。
🧼 残りの処理は、ほぼ“実験後の後片付け”
- 汁は新聞紙に吸わせて密閉
- ジップロック+ゴミ袋二重
- 帰宅後すぐに屋外の排水口で処理
これはもう、 化学実験の廃液処理と同じレベルの慎重さ。
それでも車内には匂いが残った。 アミン類は揮発性が高く、 布に付着するとしばらく残留する。
つまり、 旦那の車はしばらく“移動式実験室”だった。
🌿 科学と日常が交差した珍事件
- 発酵ガス
- アミン類
- 水中開封
- フィレとホールの構造差
- 匂いの中和レシピ
- Amazonではフィレしか売っていない理由
全部が科学的に説明できるのに、 日常生活に持ち込むとただの“事件”になる。
あの日のシュールストレミングは、 我が家の中で 「科学が暴走した日」 として語り継がれている。


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