■ はじめに:なぜ「習い事はさせた方がいい?」はこんなに悩むのか
「習い事、させた方がいいのかな?」 「やらせないと将来困る?」 「でも無理やりは違う気がする…」
最近、友人からこんな相談を受けました。 その瞬間、胸の奥がざわつきました。
あれ、これ……自分も同じじゃない?
- 習い事は早く始めた方がいい
- 周りの子がやっている
- でも本人は乗り気じゃない
- 無理やりは違う
- でも何もしないのも不安
この“揺れ”は、ほとんどの親が抱えています。
だから今回、 「習い事はさせた方がいいのか?」という永遠のテーマを、 このブログのオリジナルキャラ「ばつまる」と一緒に少し科学や哲学の知恵も借りながら物語形式で整理してみることにしました。
結論:習い事は「入口は作る・選ぶのは子ども」が最適解
習い事を“させた方がいいかどうか”は、 「親が入口を作り、子どもが入るかどうかは任せる」 これがもっともバランスが良い答えです。
理由は3つ。
- 子どもは自分のペースと本来性を持っている
- 無理やりは“やらされ記憶”になりやすい
- 興味は“自分で選んだ瞬間”に強く育つ
ここからは、ばつまるとの対話を通して、 この結論の背景を深く掘り下げていきます。
習い事のメリット・デメリット(科学的視点)
■ メリット
- 脳の発達:新しい刺激は神経回路を増やす
- 成功体験:小さな達成が自己肯定感を育てる
- 社会性:先生・友達との関わりが増える
- 体力・技能:運動系は身体能力の基礎を作る
■ デメリット
- 疲労・ストレス:詰め込みは逆効果
- 自律性の低下:「やらされてる感」が残る
- 親子関係の摩擦:送り迎え・宿題で衝突が増える
- “本来の興味”が見えにくくなる
習い事を「させた方がいい」vs「させない」比較表
| 観点 | させた方がいい | させない |
|---|---|---|
| 脳の発達 | 刺激が増える | 自由な探索が増える |
| 自己肯定感 | 成功体験が得やすい | 失敗のストレスが少ない |
| 社会性 | 友達・先生との関わり | 家族中心の安心感 |
| 自律性 | やり方次第で育つ | 自分のペースを守れる |
| リスク | やらされ感・疲労 | 機会損失の不安 |
どちらにもメリット・デメリットがあるため、 「どちらが正しい」ではなく「どう関わるか」が重要 です。
年齢別:習い事の“最適な関わり方”
- 3〜5歳:入口を見せるだけで十分
- 6〜8歳:短時間の体験を増やす
- 9〜12歳:本人の意思を最優先
- 中学生以降:親は“環境づくり”に徹する
ばつまると歩く「入口に入らない子ども」の話
夕方の森を歩いていると、ばつまるが言いました。
「ねぇ、親ってどこまで子どもに手を出していいのかな。」
「それ、ずっと考えてるよ。 頭では“干渉しすぎないほうがいい”ってわかってるんだけど、 忙しいとつい“こうしなさい”って言っちゃうんだよね。」
ばつまるは木の根元に座り込みました。
「ぼくはさ、逃げるのが得意なんだよね。 でも大人は“逃げちゃダメ”って言うじゃん?」
「逃げるのは悪いことじゃないよ。 生き物が最初に身につけた“進化の作戦”なんだって。」
入口に入らないのは“失敗”ではなく“調整”
「入口はたくさん作ってるつもりなんだよ。 公園も、体験も、本も、遊びも。 でも、子どもがその入口に入ってくれないと、 “私のやり方が悪いのかな”って焦るんだよ。」
ばつまるは言いました。
「入口があっても、入りたくない日ってあるよ。」
その言葉にハッとしました。
- 拒否ではなく“調整”
- 今の自分を守るための選択
- “まだその時じゃない”というサイン
入口に入らなかったのは、 “選ばなかった”という行動なのです。
何もしない日は「未来の何かを育てている日」
脳科学では、 ぼーっとしているときに脳が最も働く「DMN(デフォルトモードネットワーク)」が活性化します。
- 記憶の整理
- 感情の調整
- 世界観の構築
- 未来のシミュレーション
つまり、
“何もしない”は、未来の何かを育てている時間。
「餌で釣る」問題:ワークしたらゲームはアリ?
「最近、ワークしたらゲーム1時間ってやってるんだけど… これって違うのかな?」
ばつまるは笑いました。
「餌で釣るのは悪じゃないよ。 でも“釣りっぱなし”はよくないんだ。」
餌は“入口”としては最強。 でも“出口”にはならない。
だから、
餌は入口だけに使い、出口は子どもに任せる。
出口を見つけなかったときの心の持ちよう
「もしさ、入口に入ってみたけど、 出口が見つからなかったらどうするの?」
ばつまるは言いました。
「出口を見つけなかったってことはね、 “まだ探してる途中”ってことなんだよ。」
- 出口が見つからない=終わりではない
- 出口が見つからない=材料を集めている段階
- 出口が見つからない=“今はまだ準備中”
子どもは“何もしていない”のではなく、“探している途中”。
N氏の話:たくさん習い事をしたけれど「本当にやりたいこと」は見つからなかった
N氏(夫)は子どもの頃、 ピアノ・水泳・英語・そろばん・野球… たくさんの習い事をしていました。
でも、こう感じていたそうです。
「なんか忙しいな…みんなみたいに遊びたいな…」
それでも得たものはあった。 親には感謝している。
ただし、
「本当にやりたいことは見つからなかった。」
大学に行っても見つからなかった。 大人になっても、まだ探している。
資格を取ったり、勉強したり、 今でも「何かできないかな」と探し続けている。
そしてこう言います。
「だから子どもには見つけてほしいけど、 自分が見つけられなかったから押しつけるのは違うと思う。 できる範囲で、いろんな体験はさせたいけどね。」
この言葉は、 習い事をさせるべきか悩む親の心を代弁しています。
子どもが“何もしないまま大人になった”ときの心の持ちよう
これは多くの親が抱える不安。
- このまま何も見つけないまま大人になったら?
- やりたいことがないまま大人になったら?
- 何も続かなかったら?
でも、N氏の話が示すように、
- 大人になってから見つかる人もいる
- 見つからなくても人生は充実できる
- “探し続ける人生”も立派な生き方
- 子ども時代に無理やりやらされなかったことは、後の自由を守る
ばつまるは言いました。
「大人になってから見つかる“出口”もあるよ。」
借りた哲学の知恵
● ソクラテス「無知の知」
子どもは「自分が何を知らないかを知らない」。 だから入口を見せるのは大人の役目。
● アリストテレス「中庸」
過干渉と放任の間にある“ちょうどよさ”。 習い事はこの“中庸”が最も大事。
● ミルの自由論
自由の中でこそ本来性が育つ。 “やらない自由”も尊重されるべき。
● アーレント「世界への橋渡し」
親は子どもを“世界へ紹介する存在”。 型にはめるのではなく、世界を広げる役目。
明日から使える“具体的な行動指針”
- 入口は“広く・軽く・短時間で”用意する
- 入らなくても“失敗”ではなく“調整”と捉える
- 無理に押し込まない(やらされ記憶を残さない)
- 餌で釣るのはOK。ただし“入口だけ”に使う
- 餌はだんだん薄める(補助輪を外すように)
- 行動の“出口”は子どもに決めさせる
- “できた”を言葉にして内発的動機を育てる
- “何もしない日”は脳の成長日と捉える
- 子どもが休む日は、親も休んでいい日
- 親自身が“揺れていい”
■ 最終結論
習い事は「させた方がいい・させない方がいい」という二択ではありません。
親が入口を作り、 子どもが自分のタイミングで出口を選ぶ。
そのプロセスこそが、 子どもの本来性を守りながら育てる最適な関わり方だと感じています。
そして正直に言えば、 このテーマは“きれいに割り切れる話”ではありません。 親として揺れるし、迷うし、 「これでいいのかな」と胸がざわつく日もあります。
でも、その揺れは決して悪いものではなくて、 「ちゃんと子どもを見ている証」 なんだと思います。 迷うということは、 子どもの未来を大切に思っているということだから。
だからこそ、 「今の自分はこう整理している」 という言葉を一度置いておくことは、 また明日、子どもと向き合うときの 小さな灯りになってくれるはずです。
お読みいただき、本当にありがとうございました。 あなたの迷いも、ためらいも、優しさも、 すべてが子どもにとっての“安心の土台”になっています。

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